金城哲夫氏の底に流れるもの

 「金城哲夫」を知っている人は,多く見積もっても1000人に一人だろう。しかし,『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』の脚本に多く関わっている方である。

 金城氏は,幼少の頃に沖縄戦を経験し,隠れていた洞窟からたまたま外に出たところ,アメリカ軍の兵士に身柄を確保された。その時の体験が『ウルトラマン』の第1作で,ウルトラマントハヤタ隊員が一体化する場面に投影されている。

 沖縄と日本の架け橋になる夢を持って東京にある高校に進学し,後に帰郷してから1975年に行われた沖縄国際海洋博の開会式では,沖縄と日本がともに歩み寄る感じの演出をした。

 

 『ウルトラセブン』では,キリヤマ隊長や地球防衛軍がむやみやたらに宇宙人をせん滅する場面がいくつかある。それは,日本にいいようにされた沖縄の歴史を現しているという解釈がされている。