「妨害」「僥倖」に続いて藤井聡太氏が注目を浴びさせた言葉だ。
山歩きをする者にとっては,考えようによっては非常に重要な概念で,私にとっては当たり前過ぎる言葉だった。それだけに一般の方がも知っている言葉だと思っていたが,実際にはそうではなく,初めて聞いた方が多かったようだ。
富士山の中腹にある双子山の辺りで,そろそろ森林限界という所だ。
この辺りになると,風雨が強い日は,急速に体温を奪われる。先に「非常に重要な概念」と書いたのは,そうした場合の対処が生死を分けるからだ。
富士山の中腹にある宝永火口で,六合目に当たる辺りだ。既に森林限界を越えている。
北アルプスや南アルプスのように標高2500mを越える山では,雷雨が来やすい午後に森林限界を越えた山稜にいる行程になるかどうかを,計画の段階で考える必要があった。
さらにその上で,7合目に当たる。
実際には,雷雨が来そうな時間帯でも森林限界の上にいるような計画になってしまうことがよくあった。
ただ,森林限界の標高が高い南アルプスでは,北アルプスよりも安心感があった。